ADRという言葉をご存じでしょうか。
もめ事の解決,というと,真っ先に「裁判」が思い浮かぶと思います。「裁判」とは,裁判所が,法律を適用して,もめ事を解決するものです。
ADRとは,「裁判」ではない方法で,もめ事を解決する方法です。多くの弁護士会でもADRを設置しています。
弁護士会ADRは,弁護士が第三者として公正・中立の立場で,もめ事の解決を支援するものです。

裁判制度とは異なる新しいもめ事解決の選択肢です。

弁護士会ADRのメリット

弁護士が手続主宰者

弁護士会ADRでは,両当事者の間に立って弁護士が仲裁・あっせんを行います。一定の法律問題に関する経験,法的素養を有する者による質の高い解決を支援することができます。

一方,「裁判」では,裁判所が判決を行うことが最終的には予定されています。もちろん,裁判手続の中で和解が勧められることも多いですが,必ずしも両当事者にとってのもめ事解決の支援をしてくれるわけではありません。

裁判所の行う調停は,弁護士会ADRと似た制度ですが,調停を担当する調停委員が法律の専門家とはかぎりません。

手続の柔軟性

弁護士会ADRでは,手続の自由度が高いです。土日祝日や夜間も開催できるという時間の面で,また現地で行うなど場所の面で,多様に手続を進めることが可能です。

裁判では,裁判所開廷日が平日の日中に限られています。

取り扱う事件の幅が広い

裁判では,法律的な権利義務を中心に見るため,取り扱う事件の幅が狭くなる傾向があります。

弁護士会ADRでは,話合いで解決できる可能性があれば,法律的な権利義務にしばられることがなく取り扱う事件の幅は広いです。

実際の例では,「新郎新婦が,自らの両親に結婚披露宴への出席を求めた事例」があります。

和解(調停)条項を自由に設定できる

裁判では権利義務が中心になりますが,弁護士会ADRでは社会規範や倫理規範に基づく紳士協定条項や努力条項も積極的に取り込める。過去の清算に留まるのではなく将来のことを取り決める条項などを,比較的自由に設けることができます。

弁護士会ADRの弱いところ

当事者の経済的負担がある

弁護士会ADRでは一定の費用がかかります。
会によって違いがありますが,千葉県弁護士会(https://www.chiba-ben.or.jp/adr/)では,申立手数料11,000円,期日ごとの手数料が10,000円,和解が成立した場合には,成立手数料も発生します

裁判では請求する金額などによって印紙代が変わりますが,裁判所の調停では数千円程度の負担で済みます。

履行の確保

裁判所の判決には,強制力があります。預金や給料を差し押さえるなど強力な効力が与えられています。

弁護士会ADRでは,和解が成立した場合でも,判決のような強制力はありません。
ただ,紛争の実情に沿ってできる限り当事者の納得に基づく合意を目指すことから,そのような強制力がなくても,和解内容が守られるケースが多いのも事実です。

申立による時効中断効がない

弁護士会ADRの申立には,裁判と異なり時効中断効がありません(ただし,法務省認証ADRは除きます)。

災害ADR

千葉県弁護士会では,令和元年台風15号,19号に起因するもめ事について,特別に災害ADRを設けています。
申立手数料や期日手数料が無料となり,成立手数料も50%まで減額される場合もあります。
申立書を作ることが困難な場合には,弁護士のサポートを受けることもできます。

「隣の家の瓦が飛んできて,車が傷ついた」
「裏山の木が倒れて車庫が壊れた」
「アパートの住民が契約解除をしたいと言っている」
など様々な相談が寄せられています。
今後の人間関係なども考えると,裁判では大ごとになりやすく,抵抗感がありますよね。
そのような場合でも弁護士会ADRであれば,もめ事の解決支援を受けることができます。

まとめ

弁護士会ADRがどのようなものか,イメージを掴んでいただけましたでしょうか。
裁判だけではない,もめ事解決の方法があります。

 

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